トート・タロット
トート・タロットとは
トート・タロットとは、近代の西洋魔術界において、その儀式の体系化を成した魔術師としても知られるアレイスター・クロウリーがデザインを作成し、女性画家のフリーダ・ハリスが絵柄を描いたタロットカードのことを言います。アレイスター・クロウリーは、黄金の夜明け団という魔術結社に所属して魔術儀式についての知識を深め、後に自らも神秘主義結社の銀の星を創設、魔術書の執筆なども精力的に行いました。
そのアレイスター・クロウリーが1944年に発表した「トートの書」において、フリーダ・ハリスが描いた絵柄が挿絵として使われて、後にタロットカードになる絵柄が初めて世に知られることになったのです。もっとも、トートの書はあくまでタロットの解説書であり、この絵柄でタロットカード化されたのは、アレイスター・クロウリーの死後になる1969年のことでした。アレイスター・クロウリーのタロットということで、オカルト好きの層に人気が出て、タロット愛好家にも広がり高い評価も受けているのですが、まったくの素人が手を出すには解説書であるトートの書を読み込まなければならず、難しいタロットとされています。
さてこのトート・タロットは、黄金の夜明け団の教義とアレイスター・クロウリー自身の解釈が入っていることから、有名なウェイト版やマルセイユ版のタロットに比べて異なる点が多々見られます。大アルカナとして知られる22枚のタロットはアテュと呼ばれ、次のように絵柄・意味が変更されています。
番号 | ウェイト版 |
---|---|
I | 『奇術師』The Magician |
II | 『女教皇』 The High Priestess |
VIII | 『力』Strength |
X | 『運命の輪』 Wheel of Fortune |
XI | 『正義』 Justice |
XIV | 『節制』 Temperance |
XX | 『審判』 Judgement |
XXI | 『世界』 The World |
番号 | トート版 |
---|---|
I | 『魔術師』The Magus |
II | 『女司祭』The Priestess |
VIII | 『調整』 Adjustment |
X | 『運命』Fortune |
XI | 『欲望』 Lust |
XIV | 『技』 Art |
XX | 『永劫』 The Aeon |
XXI | 『宇宙』The Universe |
なお、トート・タロットが他のタロットと異なるその他の大きな点は、引いたタロットの正逆の位置を考慮しないことにあります。かと言って、純粋に絵柄だけを読み取るのかと言えばそうではなく、展開されたタロットの相互作用を判断しながらのリーディングになります。その点は「トートの書」の中にアレイスター・クロウリーによって記されており、トート・タロットを用いて占いを行う占い師にとっては必読の書となっています。また、22枚の大アルカナのことを「アテュ」と呼び、こちらも意味の変わっているカードがあります。
トート・タロット(アテュ)一覧
番号 | カード名 |
---|---|
0 | The Fool/愚者 |
I | The Magus/魔術師 |
IV | The Priestes/女司祭 |
VIII | The Emperor/皇帝 |
V | The Hierophant/神官 |
VI | The Lovers/恋人 |
VII | The Chariot/戦車 |
VIII | Adjustment/調整 |
IX | The Hermit/隠者 |
X | Fortune/運命 |
XI | Lust/欲望 |
XII | The Hanged man/吊られた男 |
XIII | Death/死神 |
XIV | Art/技 |
XV | The Devil/悪魔 |
XVI | The Tower/塔 |
XVII | The Star/星 |
XVIII | The Moon/月 |
XIX | The Sun/太陽 |
XX | The Aeon/永劫 |
XXI | The Universe/宇宙 |