タロットの神秘
第2回:コートカードが伝える暗示
コートカードとは、タロットの小アルカナにおける数字以外の人物カード、すなわち「ペイジ」「ナイト」「クイーン」「キング」の4人×4種類の全16枚を指します。「コート=court(宮廷・宮中)」といった意味なので、文字通り宮廷にいる人物を表しているのです。人物カードと呼ばれることから、これらのカードが出た際には文字通り、人物が関わるものとして読もうとする人が多いようです。もちろん、そういったケースもありますが必ずしもそうではなくて、相談する側の出来事や変化の過程、未来を表す暗示として読むことも多くあります。たとえば、クイーンとキングは特定の人物を示すケースもありますが、ナイトは人物ではなく、特に状況の変化を示すケースの暗示として読むことが一般的になっています。またペイジは、状況に加えて誰かの行動や姿勢を表す暗示として読み解くことが一般的です。
このコートカードを読む際は、絵柄から一度に読むよりも「ワンド」「コイン」「カップ」「ソード」の各スートと人物札に分けて読んだ後に、解釈を合わせるといった方法が読みやすいと言われています。たとえば、「ソードのペイジ」が出たとしましょう。当サイト内の小アルカナのページにある解釈例も参考にして見ていきましょう。スートと人物札に分ける、つまり「ソード」と「ペイジ」に分けてそれぞれを見ていきます。
まずは「ソード」です。ソードは剣、すなわち力の象徴であり、強さを示す道具でもあります。敵を倒し、道を切り開き、新しい風(環境)を作り出すものでもあります。一見すると攻撃的な印象ではありますが、剣はときに自分の身を守り、あるいは誰かの身を守る道具にもなります。自己主張をすることもあれば、誰かのサポートや全体を縁の下から支える存在にも成りえるのです。その属性を見れば、解釈のヒントにも納得がいくでしょう。四大元素においては空気(風)の属性を司っており、自然な状態においては水の属性よりも上に、火の属性よりも下に位置し、火の勢いを殺す力を持っているとされています。“空気を読む”という言葉もあるように、空気の属性は全体の状況が視野広く見えており、出しゃばりとも言える火を鎮めて安定や平穏をもたらすとされます。
一方の「ペイジ」を読み取ると、ペイジは主に始まりを示すカードです。それを人で読み解くならば幼い年齢や未熟さのことを、1日で読み解くならば夜明け時や午前中のことを示します。完成と呼ぶには程遠い、経験不足・知識不足・能力不足等々を感じさせます。ですが一方で、幼い子供と同じで好奇心や前向きな意志を内包しているとも言えます。「とりあえずやってみよう」と思いながら、スタートラインに立ったと見ても良いでしょう。
さて、「ソード」「ペイジ」のキーワードから、いくつかの暗示が見えてきます。
●「自己主張」+「鋭さ」+「未熟さ」
『誰も思い付かないような目線からの意見が生まれるが、それを実行するには力不足』といった解釈ができます。
●「サポート」+「安定」+「経験不足」
『今はリーダーシップを取るのに不安があるが、大勢の意見のまとめ役をこなせそうな雰囲気があり、長い目で見ると頼れるかもしれない存在』との解釈もできます。
解釈の内容は、まだまだ思い付くことができるでしょう。これは単に「ソードのペイジ」で読むのではなく、「ソード」と「ペイジ」に分けて見たからこそなのです。元素属性と人物属性に分けて、それぞれがどんな意味合いを持っていて、それを後で足してみるとこで細かいリーディングが可能となります。そこへ占われる人(相談者)が置かれているシチュエーションを加えてみて、コートカードによる最適なアドバイスへとつながると言えます。